ひとりぼっちの日 最初はほんのささいな 言葉の掛け違い なんで僕はいつも お姉ちゃんのお下がりなの 僕はきっと誰にも 愛されてないんです 男の子は家を飛び出した お気に入りボロボロの絵本 両手で抱きかかえて 僕だってこの絵本みたいに 自由に飛べるんです たった一人だけで歩く 生まれて初めての冒険 見たこともない世界が 男の子の周りを回りだします 誰も居ない世界だって 僕はどこへでも歩いて行けるよ 意気揚々と男の子は 街の中を行進します 男の子のお腹が 小さく鳴きました もうどれくらい 歩いてきたんだろう だんだん伸びる黒い影 オレンジに色づく世界 男の子は呟きます 僕はひとりぼっちです だんだん止まっていく 足を引き摺りながら辿り着いた 大きな鉄橋の下で 男の子は膝を抱え座ります モノクロに染まる景色 黒色が男の子を飲み込みます 僕はきっと"いらない子"なんです 消えそうな声が響きます 寂しくて 不安で 心細くて 怖くて 押しつぶされそうな気持ちを 押し込めて蹲りました やっと見つけた お家へ帰ろう 真っ直ぐ手を差し出す小さな影 優しそうな笑い顔で 女の子が立っていました ごめんなさい お姉ちゃん 泣きながら男の子は飛びつきました 色んな感情が混ざって 我慢できずに ただただ泣きました 泣き続ける男の子に お姉ちゃんが優しく語ります 君の世界は 君が思うよりも みんな君の事が大好きなんだよ 忘れないでいてね 君はひとりぼっちじゃないんだよ ほら お家へ帰ろう 「おかえりなさい」そう言って お母さんは僕を抱きしめてくれました