フクロウのそら 僕もいつかあんな風に 高く高く飛べるかな? 遠い空へ飛んでいく みんなの姿を見上げてました 小さな街の外れ 大きな煉瓦作りの家 小さくて真っ白な フクロウが住んでいました 子供の頃からずっとその家が フクロウの世界でした 周りは人間だらけで 飛び方も良く知りません 「飛べない鳥があそこにいるよ」 街中の鳥が噂して指をさしました なんで僕はみんなと 同じように飛べないの? 飛び方の分からないフクロウを みんなが笑います もう嫌だよこんなの… 誰か助けてください… 遠い空を見上げながら フクロウは毎晩鳴いてました 誰か助けてよ… 煉瓦の家に住んでる  少しクセッ毛の少年が 昔からフクロウの たった一人の友達でした いつも飽きずに外を眺める フクロウに気付いた少年は語りかけました 君は空を飛びたいの? 大丈夫きっと飛べるよ! フクロウを両手で抱きかかえ 外へ連れ出しました 君は君を信じて 僕が君を信じてるから 震えてるフクロウの 背中をそっと撫でました ボロボロの翼と 動くたびに軋む身体 何度も落ちながら フクロウは飛び続けました 突然襲う浮遊感 ふわりと浮いていく身体 翼に風を受けて フクロウは舞い上がりました 小さな羽を広げて 高く高く昇っていく 笑いながら手を叩いてる 少年が小さく見えました 僕も飛べたんだ いつだって飛べたんだ どこまでも高く遠くへ… 生まれて初めて見る 空の向こうの風景は 大きくて空っぽな 優しい世界でした