ピアノのために ある街の外れの 高台にある小さな公園 小さな女の子が一人で 毎日ベンチに座っていました 白い大きな家の 窓に面した公園のベンチ ピアノの音が聴こえてきます 女の子の大好きな場所です 遠くの街から この街に来たばかりだから 聴こえてくるピアノの音だけが 女の子の唯一の友達でした どんな人がピアノを弾いてるのかな 女の子は気になって 窓を覗いてみます 同じぐらい小さな男の子が一人きり つまらなそうな顔で 指を動かしているのが見えました ある日公園の傍を その男の子が歩いてました 女の子は話しかけてみます 君のピアノいつも聴いてるよ 少し困り顔の 男の子はこう言いました 僕はピアノが好きじゃないんです 練習ばかりで友達もいないんです じゃあ今日から私と友達になろう! 女の子はまんまるの 笑い顔で答えます 予想外の台詞にビックリして顔を上げた 男の子は戸惑いながら コクンと頷きます お互い初めて見つけた小さな宝物 嬉しくて楽しくて 言葉が溢れ出します 私は君のピアノ凄く凄く大好きだよ だから君も自分の音を 嫌いにならないで 約束しよう ある街の外れの 高台にある小さな公園 お気に入りの絵本を読みながら 女の子は今日も座ってます 楽しげなピアノを聴きながら 大好きなそのピアノのために